せっかくだから思い出について話すぜ。カスケです。思い出ってのはだな、すなわち過去だわな。過去のことって直接確認できるわけじゃないから段々アヤフヤになるぜ。その時の発言だとか表情だとか感情の動きだとか。すれ違う二人の想い。でも本当に愛してた。二人の愛はきっとホンモノだったんだ。でも運命のいたずらで二人は離れ離れに……。ってホントかよ、って話でだな。嫉妬したり醜かった自分は忘れちゃう。自分の想いも相手の言動も。すげー素敵だったって。人間ってさ、なんか不思議な生き物で悲しい気持ちになることで心が救われるんだって。カタルシスとかいうのな。だから、ヒトはわざと悲しい思い出を思い出して泣く。悲劇で心を洗う。そんなときにはやっぱ美談じゃなくっちゃだめだしね。見苦しいことなんて忘れちゃおう。あのヒトは素敵なヒトだった。私は悲しみを乗り越えられずにいるんだ、って。心を洗うこと、精神を解放することってのもそりゃ必要だ。しかしそれはこれからの自分の活力であって足を引っ張るものじゃない。思い出を振り返るときは精一杯美化すりゃいい。でも心のケアが終ったら「ああ、ありゃ美化だ」って前に進めるようにしたいものだと思う。
著者:香助総支配人 Yukai life【カスケが斬る!】