本音とはつまり当人の本心ってことなんだが、本人が自分の本当の気持ちなんて完全に把握できているとは思えない。たとえば、普段から考えていること、欲しいものはなんなのか、好きな食べ物はなんなのか、今好きな人は誰なのか、それが自分がいつも考えたりしていることであれば、とっさであれそのことを話すことが出来るかも知れない。しかし、日常で意識していないことなどであれば、不意な質問にはある程度曖昧な気持ちで回答してしまうかもしれない。滅多に口にする機会が無い食べ物を好きかどうか問われても、どうだったっけ、ってな具合。「んー、あんま食べないなぁ」とか嫌いともとれる答え。あらかじめ用意してなければ、さらさらっと答えられるものでなかったりする。で、じゃあ以前から思っていたならそれが本心なのか、っていうと「自分はこう思ってる」と自分が設定した内容なだけであって、本当にそう考えているのかなんてわからない。甘いもの好き? 好きだよって今まさに今の瞬間本当に好きなんだろうか。自分というものを省みるとき、本当の気持ちなんてなんの意味があるんだろうか。考えるほど見えなくなる人間というもの。それがまた、いいのかもしれない。
著者:香助総支配人 Yukai life【カスケが斬る!】